料理教室を始めるきっかけ 5

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・家族の入院と他界、そしてスープ

  

2016年は私にとって、とても特別な1年となった。
5月、引っ越しが決まり現在の居住地に7月に引っ越しした。
7月、義母が足の人工関節の手術の為入院。
義父の調子が良くなかった為、夫には介護休職を申請してもらい、子供には愛知県に転園させた。


義母の手術は前もって計画していたので、皆で協力して乗り越えようと、

相談の上で愛知に帰っていたが、想定外に義父が入院し、そのまま8月末に他界してしまった。

  

この頃の義母は、いまはもう「この頃の記憶がない」というほど必死だった。
私は、心から出来る限りのことをしてあげたい、と、強く思っていた。

  
なぜなら、
実母にしてあげられなかった事を、今の私なら出来るかもしれない、と思ったからだ。

  

その時精一杯の闘病をしていても、人は未熟で出来なかった事をたくさん抱えたまま見送ることしか出来ない生き物だ。

  

それを贖うには、いま、目の前で苦しむ人に出来る事をしてあげるしかない。
  
義父と私の間には、大きな絆は無かったが、夫というかけがえのない存在で繋がっている。
恩返しをしなくてはならない、と思っていた。

  

私が出来る事は、義父母が安心して闘病する環境を整える事。
得意な病人食を作ること、だった。

  
義父の闘病末期、よくスープを作った。
飲んでくれないことも何度かあったが、約2週間ほど、スープを持参する日々が続いただろうか。
義父に「今日のスープは美味しかった」と言われた時に、「恩返しが出来たかもしれない」と感じた。
  
スープは、この世で最も優しく体内に入る生命力の集合体、である。
   
枕も上がらぬ者に、何を口に入れてやればいいのか、ようやく掴めた瞬間だった。
    

つづく



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